永遠の花ことば*完結*
お姫様の決意
「シルク様、お誕生日おめでとうございます。」
そうシルクに祝福の言葉を投げかけたのは、
ミリアーネの父、ガイス。
「ありがとうございます」
そう深々と頭を下げ、微笑むシルク。
しかしその心の奥にはぽっかりと穴が開いていたようだった。
シルクが成人の儀式を行うための服に着替えていると、
部屋にコンコン、という音が響き、扉が開いた。
「…ミリアーネ」
部屋に入ってきた人物を見るなり、シルクは優しい笑みを浮かべた。
しかし豪奢なドレスを着て、綺麗に着飾った姿を見ても、
柔らかい表情で微笑む顔を見ても、
ミリアーネは硬い表情を崩さなかった。
「シルクちゃん、本当によかったの?」
以前のシルクなら、そう言われたらきっと決意が鈍っていただろう。
しかしもう、前の泣き虫なシルクではない。
フィルミスク王国の王となるその幼い少女は、
笑顔を崩さなかった。