Cutie Blonde*頬に白ホイップ*
「…朝比奈さんみたいなケーキを作りたいんです。」

「え?…僕?」

「はい。」


そこは最初から決めていた。
朝比奈さんみたいに優しくて温かい味のケーキ。
それでいて朝比奈さんの舌を満足させられるようなケーキ。


…ってそうか!分かった!
イメージが溢れて来ないのは…


「朝比奈さんのこと、知らないから…かもしれません。」

「え?」

「あのっ!」

「え?あ、な…何?」


私は思わず身を乗り出した。


「朝比奈さんのこと、教えてください!」

「え?」

「そうすればイメージしやすいかなって思って!
お時間はありますか?」

「え…っと今日は仕事で来てるわけじゃないから大丈夫だけど…。」

「じゃあお願いしますっ!あ、少し待ってて下さい。今、ペンとメモ持ってくるので。」

「あ…。」


私はそのまま休憩室へと戻った。


「…ひなちゃん、本当に真っすぐで前しか見えてない…な。
そこがすごーく可愛いけど。」


だから、朝比奈さんの独り言なんて、私の耳に届くはずもなかった。

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