Cutie Blonde*頬に白ホイップ*
* * *


ザーザーと冷水が両手にあたる。
マヌケな私は素手で鉄板に触れ、左手まで火傷した。


倉持さんがきゅっと蛇口を閉め、私を見下ろす。


「…お前、本当に何やってんだ?」

「…すみません。」

「謝罪はいらねぇ。片付け、ちゃんとやれよ?」

「…はい。」


倉持さんはそう言い残して出て行った。
一人残されて、落ちたスポンジを見つめる。


「…ごめんね、人に幸せを運ぶ前にこんなにしちゃって…。」


失敗してしまったとき、いつも思う。
私が美味しくしてあげれれば、きっと誰かの口に届いて、その人を幸せな気持ちにしてあげられるのに。


それなのに、目の前のスポンジは誰の口に届くこともなく、ゴミ箱行き。
全部、全部…私のせい。





私は誰もいない厨房で、そのままスポンジを片付けた。


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