砂場のロケット 〜キミと見る群青〜




靴と敷居にひっかかりながら
携帯を握り、玄関を出る


さっき廊下の片隅で、絵を描いていた
学生らしき 姿は無く


代わりに横の部屋からは明かりと
大勢の笑い声と靴が
外まで思い切り飛び出していた




あまり新しくはない建物
その階段を、ひたすら駆け降りる


手摺りにつかまり
一度、着信を確認




「 … 来てるわけ ねえか… 」


でも今回は、
さらわれた訳じゃない ―――

しかも日本


街灯の着いたアスファルトの道
そこを一本抜けると、もう賑やかな通り


たくさんの、店先の照明は
所々禿げたカラフルな街の、粗を隠す




少女達の浮き立つ白は
やって来た時とは逆の、駅の方へ


俺もすぐに、その波へと紛れた



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