砂場のロケット 〜キミと見る群青〜
――… アズじゃない
それは振り返る前に判った
だけど
人に見られて見られて
そんな世界に生きる奴らの共通項は
傍に立つだけでわかる"存在感"
一度ボスの吉田さんについて
テレビ局に入った時
いくつもあるカメラ、
ガムテを持ったADが走り回るスタジオ
―― 後ろに誰か立った
途端にスタジオ中、一斉に挨拶
バタバタとした音が響く
そこにいたのは
あるアイドルグループのメンバーの一人
吉田さんと面識があった様で
『 吉田さん!
LADYの続編いつ出るんすか? 』とか
何かプロディーサーも交え
かなり盛り上がっていて…
俺にしてみたら
モテの代表みたいな彼が
目の前にいる事にもビビったし
… ドラマで着ていた服
買った事だって、実はあった
ひとしきりして
彼はそのまま立ち去る
―― かと思ったら
俺の肩を、ポンとひとつ叩き
『 大変だけど、頑張って 』
ニコリと笑い、その場を後にした
人を呆然とさせる空気
身に纏う、オーラみたいなモノ
それを今
俺の後ろに現れた
ロックバンド"CheaーRuu"
ヴォーカリスト『灰谷遠矢』
こいつも、それを持ってる ―――