砂場のロケット 〜キミと見る群青〜
「 トオヤ ずっと寝てたのか?! 」
『 ……… 』
真木の驚きの声
…しかし
それに仏頂面で、無言の視線を送る、
灰色がかった切れ長の目
寝癖で斜めに立ってる、直毛髪
寝起きの上、何かかなり不機嫌な様で
白いロンTの下に手を差し入れて
何回か、腹の辺りを掻いた後
キッチンに立ち、蛇口から直で
泡立つ水を ゴクゴクと飲む
そのまま、濡れた口は袖口で拭き
ジーンズに素足を床に鳴らして
再びリビングに戻ると こちらに背を向け
ソファに、深く座った
『 …昼ドラ、見逃した 』
俺は吹き出し、奴に声をかける
「 久しぶり
…何だよ 挨拶なしか? 冷たいな 」
しかしそれにも振り向かなくて
… ちょっと本気で
何か、考え込んでいる様子
真木の顔を見ると
"仕方ねえなあ"みたいな表情で
俺が愛飲しているタバコより
五十円高い箱を開いて
黒と金のフィルターを口の端にくわえて
金の電子ライターで火をつける
「 …だからよお トオヤ
青山とアズルは、
あの日何もなかったっつってんだろ? 」
――― フォークを落とした