砂場のロケット 〜キミと見る群青〜
… 俺、あんなに強烈に
あんなに大切な想い出なんて無いのに
事柄はちゃんと覚えてる
その時の感情も
けど細部、
一緒に買ったのは水だったとか
そういう事は、忘れてた…
やっぱり目で見ると、
一気に記憶ってこんな風に、
思い出したりする物なのか
… 自分が皆の前からいなくなれば
すぐに忘れるとか
アズはくだらない事、前に言ってたけど
―――… 嫌だ
「 ただいま!! 」
「 ――― … おかえり 」
「 淳…? 」
「 ん? 」
「 も、もしかして淳も
トイレ行きたかった?! 」
「 いや …なんで? 」
「 なんか、青い顔してる… 」
「 …照明のせいだろ
外、街灯の光しか もうないし
なんか買ってくか? アズ 」
「 えと… じゃあ、水だけ… 」
「 腹は? 空いてないのか 」
「 平気 昨日の夜とか食べ過ぎたから
―― ほら! 」
アズはパーカーをたくし上げて
少し、ポコンと出た腹を見せる
「 ――… 相変わらず、お子様だな 」