砂場のロケット 〜キミと見る群青〜
帰宅ラッシュが過ぎ
空き始めたホーム
この時間
遊びに来た奴らの方が、圧倒的に多い
アズは俺の横で
ポケットから顔を出していた
ペットボトルを取り出し、一口飲んだ
―――― こいつ、少し熱ある
夜になって
高くなったって言った方が正しいか…
中吊り広告が
電車の動きと一緒に揺れる
アズの視線は、ずっとそこ
内容は若干ティーン向けの
ファッションとか、メイクとか
特集は
"小悪魔っぽくカレを落とそう!"
そんな内容に
見入っているのがおかしくて
何だか笑い出してしまった
「 …… ねえ、淳 」
「 … 悪いが正直
こんな事やっても、
合コンとかに居る奴みたいな
今すぐヤリたい連中にしか、効かないぞ 」
「 ……… そうなの? 」
「 キッカケにはなるかもしれないけどね
――― その後 付き合えても
大切にしてもらえるかは微妙だな 」
「 … どうして? 」
「 知り合ってすぐに
こんな真似するなんて
――― 誰にでもやるんだなって
そう思うだろ 」
「 …… 女の子の方は
どうしていいか判らなくて
こういう本読んで…
必死でやったかもしれないのに? 」