砂場のロケット 〜キミと見る群青〜
アズの部屋を抜け
フロアを通り、台所
「 これ 片して来るな
台所、少し借りるぞ 」
うどんの空き容器の乗ったトレーを持ち
そこへ向かう
――― お湯を沸かしていた時
食器棚の中に、
不自然な袋があるのが目に入った
" 急いで入れた様な
でも、捨てられなくて "
推理物の映画に
ハマった時期があった事や
元々からの性格で、昔からそれは
結構気にして見る方だったけど
『 どうしてそれが、
その状況で、そこに在るのか
どんな意味を持つのか 』
吉田さんには、まずそれを
考えてみる様に言われたのもある
ディティールって言ったらいいのかな
俺は映像学校を出たわけでは無いから
用語や、専門的な知識は、殆ど皆無だ
だけど吉田さんは、
『逆に、それが良い』と言ってくれた
"本やネットで集めた情報で
ガチガチに固まった頭とプライド
けれど実地に放り出されたら
本で読んだ事と、
やり方が違う事は多々ある
だから何も出来ない
怒れば、すぐにその場から消える
情熱はわかるけど、
本音言うと『ボス』からしてみれば
こんなに使いづらい人間はいない "
――… 聞いた時
かなり耳が痛かったけどね
去年の夏、あの頃の俺だと
真木が俺に、何を見せたかったのか
チケット一枚
あの無言のアドバイスだけじゃ
意味が理解出来なかっただろうし
ハシバの説明があったからこそ
理解出来たんだ
早河さんが言ってた
"噛んで含んで書かないと
意味をきちんと、理解出来ない
わからない物は、誰も見ない
今は、そんな時代
だからどうしても
判りやすい作品ばかりになって行く"と