砂場のロケット 〜キミと見る群青〜




公園のど真ん中には
太い幹の、桜の木が一本




その真下

木に背を掛け、煙草を吸う
コート姿の肩には茶色い髪

花びらが散る




こちらの気配に気付くと
俺に対しては、
感謝みたいな意を込めた笑い


アズに対しては、少し眉をあげ
「 バーカ 」と、口を大きく開く




アズが駆け寄った、桜の木の背景には


中が螺旋階段
てっぺんから三つ、滑り台の伸びた
銀色をしたロケットの遊具


灰谷とアズが
ボブスレーのペアみたいになって

笑い声を上げながら
砂場に向かって降下




二人がバタバタと
砂を散らしては、また再び
螺旋階段を昇って行った
あのクリスマスの記憶が蘇る




"――― こいつ

…ロケットの形なのに宇宙に行けない事
どう思ってるんだろう… "



そんな事を呟きながら
夜空を見つめていた
灰谷の掠れる声も一緒に




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