砂場のロケット 〜キミと見る群青〜
本当に腐っていた、去年の夏 ―――
アズのお父さんに初めて会った
あのフィルムコンテストに
俺は"BATTLE FISHING"という
空に憧れる魚の話
ショート作品を作って、送って…
モノの見事に落選した
だけど
グシャグシャに丸めて
もう何処に行ったかも判らなかったそれに
" 蜘蛛の糸 "が
たった一本、引っ掛かってた
それを発見してくれたのは、
地元の幼なじみ、西
それを受け取った日から
かなりの時間が経っていて
もう切れているかに思えたその糸を
海の向こうまで繋げてくれたのは
―― アズだったんだ ――
実際、
もし俺から連絡が来た場合を考え
空きを作っていてくれてたBQーFRONTも
"年末にかけて忙しくなるし
そろそろ諦めて、別の人を雇うか"
そんな話をしていた矢先だと言う
―― 突然指されて、慌てる生徒みたいに
だけど
何故か灰谷の表情もおかしい
真木の横に立った視線が
とにかく大きく見開いている
「 あら〜?
ニホンの家というのに…
タタミ、イロリ… 無いですね? 」