砂場のロケット 〜キミと見る群青〜




「 ――― 点滴、入れたよ

血圧低くなってて
かなりゆっくり落としてるから 」


「 はい 」




梅川さんは、奥の部屋へと戻り
カーテンを閉める


真木はこの空間に慣れている風で
脚の低い椅子に反り返って
両手を拡げ、足を組む




小皿に飴が置いてあるテーブルを挟んで
俺に、声をかけて来た




「 ――… ショックか?

たった一人のオトコを一途に想い
健気でガンバリ屋さんなオンナノコが
オレと駆け落ちしてたなんて事実が 」




「 …… そういう
わけじゃ、ない 」


「 じゃあ何で、そんな顔してんだよ 」


「 ―――… 」




「 ―… 心配しなくたって

子供同士の
ちょっとした家出みたいなもんだ 」




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