砂場のロケット 〜キミと見る群青〜





表情が ――――… 違う




「 クウヤ

その新しい船に乗るのは
私達だけなの? 」


「 いや
オマエと"CheaーRuu"
夏の陣で一緒だった、若造バンドと

松田さんが見つけて来た
"シスターフェイト" アイツらもだ


後は…
だいぶ前からライヴハウスや
ネットに上げてる奴ら、直接見て廻ってる


船が動き出したら
常時オーディション募集して
ライヴハウスでの投票+ネット投票 」


「 Jemuのコンテストみたいに?! 」


「 そうだ

手軽にPCで
娯楽として聞いてるヤツらと

演奏力や、生の空気感を求めて
ライヴに実際行くヤツら


ここまでネットが普及した現在でも
明らかにまだ、層が違うからな

どっちの意見も聞きたい


―― 取りあえず、何でもやってみようぜ


ことわざにもあるじゃん
『卵を割らなきゃ
オムレツは作れねえ』ってさ 」





「 …"You can't make an omelette
without breaking eggs."? 」








真木が、横を見上げた

あまり見た事のない、その動き




俺の手がドアを引くのと同時に
大きな長い指が、外側から押していた





俺や真木
それよりもう少し、高い背
アズを見つめる、落ち着いた視線




アズはドキリとした表情を
一瞬そいつに向けたが


「 ありがとう 」と言いつつも
真木の手から点滴を奪い取ると
途端に頬を膨らませて
ベットのある、隣の部屋へと進んだ



…広い肩幅と
イヤミな程に長い脚


キャップの下の、表情を崩さず
その後に続き
シーツに体を横たえた
無言のままのアズの横へと
当然のように、座る




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