砂場のロケット 〜キミと見る群青〜
「 淳も 」
「 ―― え 」
「 … 最初は、何言ってんだろうこの人
顔も見えないのに
私の事なんか、何も判らないのに
―― だって
私自身が"知らなかった"のに
そして実際会って、全部話して
すごく動揺したでしょう
だけどその見た目と
フラれた事全然ないっぽいから
意地になってた部分、だいぶあるよね 」
「 ……――― 」
「 あのね… 私思うの
皆、リュウジになりたかったんだよ
私から聞いた話
ライヴハウス、そしてテレビや
紙面から出来あがった『イメージ』
"『お姫様』が、命懸けで守った"
強くて、何でも出来て
成功してて ――――
そんな英雄みたいな、男の人に 」
――― 突然繰り出された
アズからのパンチ
真木は横を向いて
少し眼を見開いたまま、動きが止まってる
そしてそれは 俺も同じで ―――
…… アズは "酔わない"
自分の置かれた状況にも
普通なら、モテ囃されて
どんどん高慢になって
なのに他人事の様に
自分も、周囲の人間の事も
冷静に 観察している
その顔はまるで
俺からの"慈悲"を突っ返して来た
【戦士:AZ】の表情そのものだ…
フードを被り、杖を持って
俺達、前衛の後ろで
はかなげに立っている
後衛、癒し係の顔じゃない ―――