砂場のロケット 〜キミと見る群青〜
・春の修羅
ハルトのマンションに戻ると
外廊下にも、桜の花びら
入口の明かりがともり
薄く ドアも開いていた
「 おかえりなさい 」
出掛けた時の服装のまま
迎えてくれたハルト
テレビの音が微かに聞こえる
奥の居間に行く途中
カーテン代わりの布の隙間からは
ビリヤード台と
あの痛めた服に向き合い
ただ必死に、手元を動かす
アドリアナが見えた