砂場のロケット 〜キミと見る群青〜
「 ―― アナ まだ何かやってるのか 」
差し出された珈琲に
真木が口をつけ、テレビに目を運ぶ
「 レースを編んで ―――
衿に今、縫い合わせてる所
そろそろ、
出来上がるんじゃないかな? 」
部屋の中は
本当にちょうどいい感じの暖かさで
窓から入って来る風が気持ち良い
…… こんな街中なのに
何処かから、緑の香りがして来るし
妙に安心するのはそのせいか
「 ――― ハーブガーデンがあるんだ 」
「 ハーブ…? 」
「 うん この部屋の、すぐ真上
この辺の ――――
四階以上の建物には、
何年か前から緑化が義務付けられてる
…とは言っても
雑草しか生えてなかったんだけど
バレンタインの日にね
朝からいきなり、業者が来た 」
「 …… 業者? 」
「 ――― ルウが送り込んで来た、刺客 」
「 …… 刺客 …って 」
ハルトが微笑む