砂場のロケット 〜キミと見る群青〜




真夜中でも 遠く白明るい 空の下
周囲のビルは 黒い




闇の中に浮き立つ
白や青の 小さな花の群生




アズのプレゼントだと言う
その空中庭園は


ファンタジーの世界みたいに
巨木が立っていたり
ブロンズの噴水が水飛沫を
上げていたりはしなかったけど




植物ごとの
レンガや木板の仕切り


冬も見越した温室が
端にきちんと設えられていたり
あまり根を、深く張らない植木達が
ビル風に緩く 葉を鳴らす




「 ―――… どうしたの? 岡田くん 」


「  え…  」




「 ハーブ園と聞いて
故郷が懐かしくなるタイプでも
キミは無いでしょう…? 」




「 ………… 」




ハルトは一度しゃがんで

花の無い草の一群に
パチリと、ハサミを入れる




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