砂場のロケット 〜キミと見る群青〜
「 まあ本音を言うなら
…… 何処へ行っても同じだからだよ
世界中、どこもかしこも
腐敗した塔だ ―――――
それに俺は
元々やりたい事の一番は
バンドじゃないからね 」
「 …… " ルウの服を作る事 "か? 」
「 御明答
今 新作春物を製作中なんだ ――――
今ニューヨークでは
シックなデザインの服に
横掛けのメッセンジャーバッグが
リバイバルで流行って来てるんだけど
…… 大きいんだよね
ルウ、物あまり持たないから
どんなコーデがいいのか悩んでる… 」
そう笑うハルトの顔は
本当に嬉しそうで ―――――
だけど、何か思い出した様に
口の端を、元に戻した
そして俺は
ここに上がって来た本当の理由を
自分のノドから、ゆっくり絞り出す
一度 詰まって絡み
そんな俺を見て首を傾げる
月の縁の様な眼
「 ――――… ハルト 」
「 はい 」
「 …… お前
アズを、 ―――――――
…… 閉じ込めた事、ある のか…? 」