砂場のロケット 〜キミと見る群青〜




「 まあ本音を言うなら


…… 何処へ行っても同じだからだよ

世界中、どこもかしこも
腐敗した塔だ ―――――


それに俺は
元々やりたい事の一番は
バンドじゃないからね 」




「 …… " ルウの服を作る事 "か? 」


「 御明答
今 新作春物を製作中なんだ ――――


今ニューヨークでは
シックなデザインの服に
横掛けのメッセンジャーバッグが
リバイバルで流行って来てるんだけど


…… 大きいんだよね


ルウ、物あまり持たないから
どんなコーデがいいのか悩んでる… 」




そう笑うハルトの顔は
本当に嬉しそうで ―――――




だけど、何か思い出した様に
口の端を、元に戻した




そして俺は
ここに上がって来た本当の理由を

自分のノドから、ゆっくり絞り出す




一度 詰まって絡み


そんな俺を見て首を傾げる
月の縁の様な眼




「 ――――… ハルト 」


「 はい 」




「 …… お前

アズを、 ―――――――


…… 閉じ込めた事、ある のか…? 」





< 351 / 569 >

この作品をシェア

pagetop