砂場のロケット 〜キミと見る群青〜






――… 人のHとかさ


見るのも聞くのも、初めてじゃないし


俺も夜中、隣で寝てたハズの女が
実は、ちゃっかり起きてたりして
手が伸びて来てとか




…… 真っ最中は
さすがになかったけど


カラオケしながら、キスしてたりとか
皆で盛り上がってるパーティー状態位は
普通にビデオ撮ったり、写メ写したりとか




… ナンパして、誰かの家に行って
他に人がいたとしても
スタートしちゃう奴らはいたし




今回はそれが、アズってだけで
ムリヤリされてる訳じゃないし




――― 俺が


人がいるなんて、知らないわけだし




むしろ、アズの指はずっと
青山の黒髪に、必死に絡んでるし ――


小さな、吐息みたいな声は
かなり無条件に
指と舌の動きを 受け入れてる




―――― とても短い時間で


途切れとぎれの 切ないアズの声は
だんだんと、泣きそうな感じに高くなって




青山の肩の上に、抱え上げられた足


真っすぐになった爪先が


しばらくの間
微かに震えながら、空を泳いで




オレンジ色した逆光の中


ダイヤの光の、透明な雫と一緒に


ゆっくりと下に 堕ちて行った ――――





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