砂場のロケット 〜キミと見る群青〜




カラオケも始まり
宴もたけなわの屋形船 ―――




「 ――― 俺達の頃なんかは

大体、女の子にモテるって理由で
"ロックしようぜ!"って始めたもんだけど
君はモテそうだし、なんでなの? 」




細身の体に、ポロシャツ

煙草をふかしながら
松田さんが、興味ありそうに
俺に質問を繰り返して来る




「 …… や
知り合いに一人は、いるじゃないですか
バンドやろうって叫び始める奴

そいつはヴォーカルやりたがって
何か、俺はいつの間にかギターに…

でも、一曲しか弾けません 」




「 続けなかったの? 」


「 その頃は
ダンス、ヒップホップ系 皆聞いてて
バンドに興味ある奴
あんまりいなかったって言うか

…… 楽器覚えるの大変だし


ヴォーカルならいいけど
じゃないならやらないって
集まらなかったんですよ 」


「 そのパターンか 」


そう笑う松田さんの横で
お湯割りを飲み始めた梅川さんが
外を見ている灰谷に、声をかける




「 そういえば灰谷君
映画出演する話って、どうなった? 」



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