砂場のロケット 〜キミと見る群青〜
『 … やりたくない 』
灰谷は、
桟にアゴを乗せたままそちらも見ず
不機嫌そうな、かなり低い声
真木、青山、松田さんも
煙草を吸いつつ苦笑して
アズと真木の間にいた青山が
空になった空き瓶を持って
スタッフの人達のいる、後ろの方へ向かう
「 … キスシーンがね あるんだって
" 何とも思ってない奴に
そういう事するのはムリ "って 」
俺の横
アズの唇から告げられた、小さな声
薄いピンク色の液体が入った
江戸きりこの透明なグラスに
白い指が 伸ばされた
「 … アズ
実は結構飲んでないか? お前 」
「 これは桜ジュースだよー
でも、よっぱらった事ない 」
「 … 可愛くねえぞ 」
「 あはは 」
俺達より、少し年上くらいの集団が、
真木と松田さん達の間に
賑やかな声を挙げ、なだれ込んで来て
アズは席をずれ、俺の横に
真木が、少しヨロリとしながら
アズの体にぶつかった
「 … クウヤ 平気? 」