砂場のロケット 〜キミと見る群青〜
手の中には良く冷えた
ミネラルウォーターが二本
速度を落とし、止まった船の座敷から
夜空の下に出ると南風 ―――――
出しなに中で歓声が挙がったのは
開かれた窓から白く輝く
レインボーブリッジが見えるせいだ
自分も甲板から
そのネオンライトを見上げる
マンハッタンを車で走っていた時も
どこかの橋と、夜景を見たけど
空気の匂いも全然違うし
あれは真冬だったよなと
息を吸い込みながら、思う
「 つか… アズ達どこよ 」
俺達が乗っている屋形船は
何となくイメージに浮かぶ
"三角屋根の"って感じではなくて
大人数乗り
屋根の上に展望デッキがあり
外観的には、遊覧船に近い感じだ
周囲を見回したけど、姿無し
―――― 上か?
船首近くの階段から昇ろうと思い
甲板を進むと
船の名前が書いてある提灯の明かりの下
微かな話し声と 人影が見えた
「 あー… 平気平気
アズルも座り込んでないで、戻れや 」