砂場のロケット 〜キミと見る群青〜




「 ―― 灰谷…  とユカちゃん 」




口では色々言っていた灰谷と ―――

かなりしょげた様子のユカちゃんが
展望デッキに、一緒に昇って来た




「 ユカちゃん こんばんは 」


そう挨拶すると
ユカちゃんはペコリと
灰谷の影から、小さくお辞儀


リスみたいな見た目は
冬に会った時と、あまり変わらないけど


少し泳いだ感じの、不安げなその眼は


骨格がだいぶ、男っぽく変わって来た
ガーゼシャツを着た 灰谷の背中を
ただ必死に追い掛け、見つめている




もしかしたら ―――――

今日は彼女が、夢から覚めて

灰谷と自分達以外が住む
"リアルへ続く扉の中を覗き見てしまった"


俺にも覚えのある
そんな日だったのかもしれない ――――



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