砂場のロケット 〜キミと見る群青〜



やたら素早い、妙な生物みたいに
雑然とした 人のざわめきをすり抜け
カラオケ横の、お爺さんの元へと走るアズ




マイクを一本渡し
戸惑いながらも嬉しそうな
その老船頭さんの手を取り
モニターの前で、深呼吸する




――― そして場内は、騒然と言った感じで
ザワザワしたり、短い歓声があがったり
全員が全員 上座へと意識を集中した




…… 見てるこっちが緊張して来る




ところがアズ自身は
フニャリとした笑顔を浮かべていて ――





照明が落ちた
小さなスポットライトの下

黒く変わった画面の中に
数字の羅列が、走って消えた




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