砂場のロケット 〜キミと見る群青〜




「 ――― ちょっと待った 」


「 …… ジュン? 」


俺は知らないが
男達は、俺の顔を知っていた様で
自然に足を止めた


肩を掴まれたアドリアナはアドリアナで
瞳を大きく見開いて、俺の顔を見てる




「 あ… あ、そうね

わ、私、
アナタの服、借りっ放しだったわ… 」


笑いながら慌てて
袖を脱ごうとする動きをとめた


「 …違う

――― やっぱり服見に行こう、アナ 」


「 ――― え… 」


「 靴も、サイズ合ってねえべなそれ

ついでに化粧も、
自分でやったろ ヘッタクソだな 」


「 ――― な…!! 」


ア然とした顔

その腕を引っ張り、
横の服屋に走り込んだ


真木の指令を待っている様な
キョロキョロとする男達の姿


その隙に二階へ上がって
裏口側へと向かう階段を降り


段ボールの積まれた細い通路から出て
そのまま人ゴミに紛れる様に走った



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