砂場のロケット 〜キミと見る群青〜
舞い散る桜の花びらの下
アドリアナは後ろ手を組み
空を見上げる
「 クウヤとの結婚話は
―― 私が無理矢理、OKさせた
昔、一度
ウチの車が爆破された事があって
近くの公園で遊んでいた子供達が
巻き込まれた事があったの
――― 幸い全員、軽傷で済んだけど…
私をかばった少年が目を痛めて
私は私で、ノドを痛めて
しばらく入院していた
その少年が、高校生だったクウヤよ
――― 私は退院してすぐ
ウチの書庫にあった本
適当に抜いて、彼の病室に持って行った
目が見えないのにね…
―― 私は話せなくて
彼は目が見えなくて
結局コミュニケーションも取れず
何故か退院後の病院のカルテにも
彼の事は書いていなかったから…
外交官の息子だから
いろいろとあったんでしょうけど…
――― 再会したのは、あるパーティー
私は彼を欲しがり
彼はアズルの自由を交換条件に
その話を受けた
… 私からローグウェルの魔法が消えたら
彼を縛っていたその魔法も
解けただけって話
――― これでもまだ
私と一緒にいる事、イヤにならないの?」