砂場のロケット 〜キミと見る群青〜
店先に、自転車を滑らす
アドリアナは、横座りのまま
「 …アナ
先に降りてくれないと、
俺、自転車停められないぞ 」
「 え、あ… 」
アドリアナはソロソロと
地面に足を着け、俺の背中から手を離す
ちょうど木の横
申し訳程度の、細いガードレールに
チェーンキーをしっかりと掛けた
扉と、ショーウインドーだけの
小さな店先
そこには、服やアクセサリー
靴もディスプレイされているけど
今日はパネルに延ばした
海の写真が飾ってある
しばらくアドリアナは
それに魅入っていて
俺もついでだから、
一本、タバコを吸う事にした
「 … アドリアナ
中見たかったら、先に入ってろ 」
「 ―― うん 」
結局アドリアナは
俺が吸い終わるまで
ずっとその写真を、見たままだった