砂場のロケット 〜キミと見る群青〜
三人目の田中さんの部屋
扉が閉まるのを確認してから
アドリアナを伴い、踵を返した
この辺一帯は、前に俺が住んでいた様な
二階建ての古いアパートが立ち並んでいる
夕食時とあって
暖かな空気に開かれた窓から
カップラーメンや
炒飯ぽい香りが流れて来た
「 …… お腹空いたわ… 」
「 あと一件、それまでガマンな 」
「 …… 」
道沿いに出て、自転車の鍵を解く
ガチャリとスタンドをあげて、
サドルを跨いだ
「 アナ、乗れ 」
―― 最後の服、四件目は
ちょうど、自転車を借りた場所の近く
タグに携帯番号が載っていたんだけど
俺がかけた時には繋がらず
遠山さんがさっき、
連絡がついたと教えてくれた
一度 店に戻って服を置いて
自転車の返却は、七時までだから
それからこの
『青戸』さんの所に行こうと思う
「 ―― アナ 早くしろよ 」