秘書室の言えなかった言葉
「今、すっげぇ嬉しい」


私の耳元でそう囁く倉木。

私は倉木の腕の中で


「私も嬉しい」


そう言うと、倉木は少し身体を離し


「なぁ、園田……」


私の頬を撫でながら、見つめる。

そして、少しずつ倉木が近付いてき、私は目を閉じる。

普段、“クール”と言われている倉木。

だけど、そんな倉木とは正反対に、お互いを求めるように熱い、そして深いキスを繰り返す。


倉木がそっと私の唇から離れると、私は肩で大きく息をする。


「ほんと、マジで嬉しい」


倉木はそう言って、また私をぎゅっと抱きしめる。

私も倉木の背中に腕を回し、そして、顔を上げ


「私も嬉しいよ」


そう言って、にこっと笑う。


気まずくなりたくなくて、そして、勇気がなく言えなかった気持ち。

だから、まさか好きな人に気持ちが通じるなんて思っていなかった。

やっぱり、ちゃんと勇気を出して言葉にしてみなきゃ、結果がどうなるかわからないよね?


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