秘書室の言えなかった言葉
「今日、うち来る?」

「えっ!?」


急な展開に私はつい声が出てしまった。


「嫌なのかよ」


そんな私の態度に、倉木はしゅんとする。


「嫌ってわけじゃぁ……」


私も、もう大人。

倉木と一緒に居たいけど、倉木の家に行くという事は……


「嘘だよ。何もしないから、本当にうち来る?俺、園田ともっと一緒に居たい」


何もされないのは、それはそれで寂しい。

なんて思ってしまった私。

だから


「行く……。何かしてもいいから」


さすがに今の言葉は恥ずかしくて、俯く私に


「……じゃぁ、仕事終わらすか。お前、まだ仕事残っているんだろ?」


そう言って、私の頭を撫でる。


「えっ?そうだけど……。倉木の仕事は終わったんじゃないの?」

「あぁ。でも、園田、今日、遅くまで残るつもりだったんだろ?二人でやれば早く終わるから、さっさとやるぞ」


さっきまでの甘い空気から一転。

いきなり仕事モードに変わる倉木。

私にこんな切り替え出来るんだろうか……

なんて思いながら、パソコンに向かう。


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