秘書室の言えなかった言葉
「どうせ、本気じゃないんでしょ!もう私にかまうのはやめてよ!」


誠司は、必死に抵抗する私の腕を押さえ付ける。


「本気だ、って言ったら、戻ってくるのか?」


誠司は真剣な目をして私を見つめる。

付き合っていた頃は、ドキドキしていたけど……


「本気だって言っても、やり直さない。誠司とは付き合わない。私が好きなのは倉木だから」


はっきりとそう言った。

その瞬間、誠司の目つきが変わる。


「じゃぁ、力ずくで奪ってやるよ」


そう言って、私の首元に顔を埋め、キスをした。


「イヤッ!!」

「何やってんの?」


その時、いつもと違う低い声が聞こえてきた。

その声の主は……


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