卵の白身と黄身を分ける器具が、私の脳みそを白身と黄身に分けた時に出来たモノ
トマト
僕は振り向いてみる、白い壁。
前を向く、そこは突然に黒い壁。
横には灰色があると思うから、見ない。
僕は現在は動かない方が良いと思う。何故か確信が持てる。
ただ立ち尽し、視線を足先に置く。
不意に世界が揺らいだ。ゆっくりと落ちている。
やがて、静かに止まった気配。
僕は迷う。
もう一度振り向くか、を。
だが、その必要は無かった。
黒い方の壁が真っ二つに割れたからだ。
…そこは眩い蛍光灯。
人が行き交い、青い匂いが立ち込める生鮮食品売り場。
僕はトマトを探し歩き出す。
《エレベーター》