卵の白身と黄身を分ける器具が、私の脳みそを白身と黄身に分けた時に出来たモノ
トマト
 
僕は振り向いてみる、白い壁。
前を向く、そこは突然に黒い壁。
横には灰色があると思うから、見ない。

僕は現在は動かない方が良いと思う。何故か確信が持てる。
ただ立ち尽し、視線を足先に置く。

不意に世界が揺らいだ。ゆっくりと落ちている。

やがて、静かに止まった気配。

僕は迷う。
もう一度振り向くか、を。

だが、その必要は無かった。
黒い方の壁が真っ二つに割れたからだ。

…そこは眩い蛍光灯。
人が行き交い、青い匂いが立ち込める生鮮食品売り場。

僕はトマトを探し歩き出す。







《エレベーター》

< 1 / 83 >

この作品をシェア

pagetop