卵の白身と黄身を分ける器具が、私の脳みそを白身と黄身に分けた時に出来たモノ
──……え? あ、どうぞどうぞ。
な、何か僕に用ですか?
え、話って……ああ、新入りさんなんですか。
僕はこの戸棚に来て1年半、です。
じゃ何も知らないんですね。
そうですか、じゃトモダ……いやいや、僕と一緒にいると貴方、イジメられますよ。
だから早く、離れた方がいいです。
……ええ、もうずっとですから。
いや、僕……僕は、僕は……『山本』なんです……!
貴方達みたいに『山田』じゃないんです!
だから……!
……え? 本当に?!
貴方も『山本』なんですか?!
……本当に、僕以外にも……ああ……すいません、お借りします……。
すいません、洗ってお返ししますから。
いや本当に嬉しくて。
乳離れして初めてですよ、巡り逢えるなんて……お顔を良く見せて下さい……ああ、本当に……山本なんですね!
ああ、すいません、最近ちょっと涙脆くて……。
ええ、ええ。
そうだったんですか……貴方も辛い目に……。
言いにくいですけど……この戸棚の『山田』達も、貴方がいた戸棚と変わらないかも知れません。
結構ヒドいんですよ。
今朝、移動して来たならもう洗礼は受け……え? 何もされて無いんですか?
あの凶悪な『山田』達に?
……そんなモノが……あるんですか?
ええ、是非!
是非見せて下さい!
はあ……これが……?
このネックレスを付けているだけで『山田』にイジメられない、と……。
え?!
良いんですか?!
本当に?!
……50万円、ですか。
ですよね、それぐらいの価値のモノですよね。
……え?!
30万円にしてくれるんですか?
ああ……なんて良い人なんだ、貴方は!