君と僕とひまわり
桜
去年、満開だった桜の木が
台風によって、ほとんどが吹き散らされていた。
自分が高校生になったということに、実感が湧かず、
どうやら、私の魂という名の得体のしれない物体は
あの夏に置き去りになったようだ。
あれからというもの、成績は上がるわけでもなく、下がりもしなかった。
勉強をしている間は、忘れることが出来るだろうと、
努力した割に、その勉強時間と成績は比例しなかった。
第一志望校に無事に合格したのだが、あれだけ私を支えてくれた
母にお礼を告げることなく、その人は逝ってしまい、
父も私の心を読み取ったのか、私を何度も何度も抱きしめて泣いた。
相変わらず退院出来ない兄を見舞いに行き、そのことを報告すると、
弱々しい体で、必死に笑ってくれた。
昔の頼りがいがあり、たくましい背中の兄を思い出すと、胸の奥が痛んだ。