短編集
彼とは近所に住んでいる幼馴染みである。
だから、彼の行動は大体予想がつくはず―――…
「悠くん、まさかそれって…花火…?」
「うん、だけど、さすがに線香花火だけにするよ」
はい、と差し出された線香花火。
そういう問題ではない。
一体どこから見つけ出してきたのであろう線香花火に火をつけた彼は、私の線香花火にも火をつける。
「もう時期じゃないけどね」
「11月だもの」
「あ、ちとせちゃんの落ちた」
私の線香花火はすぐに消えてしまった。
そして、すぐに彼の線香花火も落ちて消えてしまった。
「悠くん」
「なに?」
「もしかして何かあった?」