短編集
嘘
自分の気持ちを殺しても
君のそばにいれるなら。
―嘘―
23時、私は居酒屋に呼び出された。
指定の居酒屋に着くと、見慣れたふわふわの髪が見えた。
「ハルカ、来たよ」
そう私が声をかけると、首だけ動かして私を見る。
「座んなよ、玲」
頬が赤くなっているところを見ると、結構酔ってる。
分かってる、ハルカが私を呼びだしたときは必ず彼女と喧嘩したときだ。
「また喧嘩したの?」
「ん〜…」
「そ」
最低な男だ、と思う。
ハルカは私が自分を好きだと知っている。