臆病な初恋。
臆病の罪。
家を出ると、真向かいに〝森永〟と書かれた表札。
森永さんの家の扉が開いた。
中から出てきたのは幼なじみの森永亜清(もりながあせい)。
「………」
亜清が私を見ている。
私も亜清を見ている。
だけどお互い無言。
なのに目が離せない。
亜清と喋りたい。
だけど今更なんて喋りかけたら良いのか分からない。
視線が重なっていたのも束の間。
亜清は私から目を逸らして、スタスタと歩いて行ってしまった。
< 1 / 25 >