抹茶な風に誘われて。
Ep.2 かをる―新学期
久々のセーラー服に袖を通して、紺のリボンを結んだら自然と気持ちがしゃきっとした。
まだまだ残暑は厳しいから、気分は夏のままなんだけど、カレンダー上では九月。
新学期一日目の教室に入った途端、爽やかだった私の気持ちは一転した。
「どっ、どうしたの? 優月ちゃん……何かあったの?」
隅で固まっていた女の子たちが取り囲んでいたのは、二年になってから同じクラスになった新田優月(にったゆづき)ちゃん――唯一の親友、河野咲(こうのさき)ちゃんを通して親しくしているお友達だった。
しゃくりあげている優月ちゃんを数人の子たちが慰めながら、皆が口々に説明する。
「彼氏にふられたんだって。しかも二股だったらしいの。ひどい話でしょ?」
「いきなりデートドタキャンされてさ、彼氏のアパートに行ったら女がいて、修羅場だって」
「それが相手の女ってのが、もろアゲ嬢そのものでさ~大して可愛くもないのにメイクだけでごまかしてるようなヤツらしいよ~」
「ね? サイテーでしょ?」
口を揃えて聞かれ、私は目をぱちくり。
「ふ、ふたま……? 修羅場? アゲ……?」
なんだか聞き取れない単語がたくさん出てきて困っていたら、優月ちゃんが俯いてた顔をあげて、涙目で私を睨んだ。
「もお~いちいち聞きかえさないでよっ! 忘れたいんだから!」
「ごっ、ごめ……」
「あーっ、違う違う、優月! ほら、かをるちゃんこういうのに疎いからさ、純粋にわかんないだけなんだって! ねっ?」
フォローに入ってきてくれた咲ちゃんに言われて、優月ちゃんはハンカチで涙を拭く。
他の子たちに付き添われたままトイレにお化粧直しに行ってしまって、静かになった教室で咲ちゃんが苦笑いした。
まだまだ残暑は厳しいから、気分は夏のままなんだけど、カレンダー上では九月。
新学期一日目の教室に入った途端、爽やかだった私の気持ちは一転した。
「どっ、どうしたの? 優月ちゃん……何かあったの?」
隅で固まっていた女の子たちが取り囲んでいたのは、二年になってから同じクラスになった新田優月(にったゆづき)ちゃん――唯一の親友、河野咲(こうのさき)ちゃんを通して親しくしているお友達だった。
しゃくりあげている優月ちゃんを数人の子たちが慰めながら、皆が口々に説明する。
「彼氏にふられたんだって。しかも二股だったらしいの。ひどい話でしょ?」
「いきなりデートドタキャンされてさ、彼氏のアパートに行ったら女がいて、修羅場だって」
「それが相手の女ってのが、もろアゲ嬢そのものでさ~大して可愛くもないのにメイクだけでごまかしてるようなヤツらしいよ~」
「ね? サイテーでしょ?」
口を揃えて聞かれ、私は目をぱちくり。
「ふ、ふたま……? 修羅場? アゲ……?」
なんだか聞き取れない単語がたくさん出てきて困っていたら、優月ちゃんが俯いてた顔をあげて、涙目で私を睨んだ。
「もお~いちいち聞きかえさないでよっ! 忘れたいんだから!」
「ごっ、ごめ……」
「あーっ、違う違う、優月! ほら、かをるちゃんこういうのに疎いからさ、純粋にわかんないだけなんだって! ねっ?」
フォローに入ってきてくれた咲ちゃんに言われて、優月ちゃんはハンカチで涙を拭く。
他の子たちに付き添われたままトイレにお化粧直しに行ってしまって、静かになった教室で咲ちゃんが苦笑いした。