抹茶な風に誘われて。
Ep.3 かをる―事件
「こんのババア……もう許さないっ!」
あふれた涙で目のまわりを黒くしながら、優月ちゃんが相手の女の人に突進していく。
さっき見かけたままの白と黒のタイトなミニワンピース、大人っぽい印象だったファッションと髪型。
それが今では両方乱れて、無残なことになっていた。
相手の人も似たような感じで、お互いに長い髪の毛を引っ張り合ってきゃあきゃあ叫んでいる。
止めなきゃ、と思うものの、あまりの迫力に入っていく勇気がなくてたじろいでいたら、誰かが「警察呼べ」なんて言いはじめているのが聞こえた。
「だっ、だめですっ、警察なんて!」
学校にバレたら問題沙汰にされてしまうかも、そんな考えが咄嗟に浮かんだ。
突然叫んだ私に気づいてくれたハナコさんがやっとかがみこんでくれて、あわてて友達だってことを説明した。
「ちょっと、あんた行きなさいよっ」とハナコさんが一番若いお兄さん、もといお姉さんの背中を押す。
「いやあよ、あたしああいう怖い女、苦手なのっ! 姉さん行ってよっ」
たちまち逃げ腰になるお姉さんたちは、互いに互いを押し合っていて、この場では助けにならないことがすぐわかった。
「このままじゃ優月ちゃん、連れて行かれちゃうかも……わっ、私行ってきます!」
お花のアレンジをハナコさんに預けようとしたら、お姉さんたちが「だめよあんなのに近づいちゃ! 玉の肌がひっかかれたりしたら傷ついちゃう!」とすごい力で引きとめてくる。
「でっ、でも――」
どうしよう、とハナコさんと目を合わせた、次の瞬間。
ガン、という大きな音がまた響いた。
あふれた涙で目のまわりを黒くしながら、優月ちゃんが相手の女の人に突進していく。
さっき見かけたままの白と黒のタイトなミニワンピース、大人っぽい印象だったファッションと髪型。
それが今では両方乱れて、無残なことになっていた。
相手の人も似たような感じで、お互いに長い髪の毛を引っ張り合ってきゃあきゃあ叫んでいる。
止めなきゃ、と思うものの、あまりの迫力に入っていく勇気がなくてたじろいでいたら、誰かが「警察呼べ」なんて言いはじめているのが聞こえた。
「だっ、だめですっ、警察なんて!」
学校にバレたら問題沙汰にされてしまうかも、そんな考えが咄嗟に浮かんだ。
突然叫んだ私に気づいてくれたハナコさんがやっとかがみこんでくれて、あわてて友達だってことを説明した。
「ちょっと、あんた行きなさいよっ」とハナコさんが一番若いお兄さん、もといお姉さんの背中を押す。
「いやあよ、あたしああいう怖い女、苦手なのっ! 姉さん行ってよっ」
たちまち逃げ腰になるお姉さんたちは、互いに互いを押し合っていて、この場では助けにならないことがすぐわかった。
「このままじゃ優月ちゃん、連れて行かれちゃうかも……わっ、私行ってきます!」
お花のアレンジをハナコさんに預けようとしたら、お姉さんたちが「だめよあんなのに近づいちゃ! 玉の肌がひっかかれたりしたら傷ついちゃう!」とすごい力で引きとめてくる。
「でっ、でも――」
どうしよう、とハナコさんと目を合わせた、次の瞬間。
ガン、という大きな音がまた響いた。