抹茶な風に誘われて。

Ep.4 かをる―電話

 次の日、私はすごくどきどきしながら学校へ行った。

 今日こそ咲ちゃんに打ち明けるんだ、静さんとお付き合いしているんだってこと。

 そして――優月ちゃんにも。

 だってこのまま黙っていたら嘘をついていることになって、二人にも悪いし、静さんにだって迷惑をかけることになる。

 付き合っているって言ってもいいのかわからないけど、でも本当のことだから――。

「おっ、おはよう、優月ちゃん、咲ちゃん! あ、あのね、私話さなきゃならないことが――」

 ドアを開けて、決意がしぼまないうちにと声をかけたつもりが、がやがやと賑やかな教室では私の声は届かなかったようだった。

 みんなが黒板を見て何か話し合っていて、プリント類を見ている。

「あ、おはよーかをるちゃん! これ見てみて! うちのクラス、おばけ屋敷に決定だってさ」

「お、おばけ屋敷……?」

 優月ちゃんが明るい顔で頷く。

 首を傾げたままの私に苦笑して、咲ちゃんがプリントを渡してくれた。

 第四十三回文化祭、という文字を見てやっと納得が行った。

 ――そういえば、この前クラスでアンケートをとっていたっけ。

 静さんのことを話すか話さないかで悩んだりしていて、ほとんど上の空だったから忘れていたのだ。

「ねーねーおばけ役は立候補? それともくじ引きー?」

「えーおばけ役やりたい奴なんている?」

 話し合いながら、みんなはどんなおばけがいいかなんて案を出し合っている。

 クラスの中心になることが多い優月ちゃんが、提案したくじ引きがいつの間にか始まって、私はまた話すタイミングを失った。

 ――で、でも……だめだ、またこうやってずるずる引き伸ばしちゃ。ちゃんと話さなきゃ!

「あっ、あのね、優月ちゃん! 咲ちゃん……!」

 私が意を決して声を出したその時、あみだくじをやっていた手を止めて、優月ちゃんが叫んだ。
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