抹茶な風に誘われて。
Ep.6 かをる―混乱
「あれっ、かをるちゃんじゃない! どうしたの、今学校帰り?」
突然背後から声をかけられて、振り向いたら色鮮やかな赤いスカートスーツが見えた。
昨夜の優月ちゃんと重なって一瞬どきっとしたけど、私を見て微笑んだのは香織さんだったのだ。
「なんか時間早くない? あ、もしかしてサボリとかじゃないよねえ? だめよお、こんな街で制服着たままウロウロしてちゃ。かをるちゃんの顔じゃあ中学生と間違って補導でもされるか、悪けりゃ変なやつらに連れて行かれちゃうかもよお?」
って、まあ真面目なかをるちゃんがそんなわけないか、なんて自分で呟いて、香織さんがタバコを口にくわえる。
いつものように紫煙を吐き出すその姿を見ていたら、なぜか安心していくのがわかる。
自分でもわからない衝動のまま、駅をおりてこの裏通りに来てしまっていたけれど、配達以外の目的でここを歩いたことはなかったから。
「えっと――冗談のつもりだったんだけどさ、もしかしてマジ? ひょっとして静となんかあったとか?」
スカートと同じ真っ赤な爪をした指先でタバコをもみ消して、あせったように聞いてくる香織さん。
もう気持ちを一人でためこんでおくのに限界で、気づけばその腕にしがみついていた。
「香織さん……助けてくださいっ」
言った瞬間顔がゆがんでいくのが自分でもわかる。
香織さんはいきなり飛びついた私にびっくりして、「え? え? ちょっと、どうしたの? かをるちゃん?」と何度も訊ねてくれたけど、それ以上は何も言うことができなかった。
突然背後から声をかけられて、振り向いたら色鮮やかな赤いスカートスーツが見えた。
昨夜の優月ちゃんと重なって一瞬どきっとしたけど、私を見て微笑んだのは香織さんだったのだ。
「なんか時間早くない? あ、もしかしてサボリとかじゃないよねえ? だめよお、こんな街で制服着たままウロウロしてちゃ。かをるちゃんの顔じゃあ中学生と間違って補導でもされるか、悪けりゃ変なやつらに連れて行かれちゃうかもよお?」
って、まあ真面目なかをるちゃんがそんなわけないか、なんて自分で呟いて、香織さんがタバコを口にくわえる。
いつものように紫煙を吐き出すその姿を見ていたら、なぜか安心していくのがわかる。
自分でもわからない衝動のまま、駅をおりてこの裏通りに来てしまっていたけれど、配達以外の目的でここを歩いたことはなかったから。
「えっと――冗談のつもりだったんだけどさ、もしかしてマジ? ひょっとして静となんかあったとか?」
スカートと同じ真っ赤な爪をした指先でタバコをもみ消して、あせったように聞いてくる香織さん。
もう気持ちを一人でためこんでおくのに限界で、気づけばその腕にしがみついていた。
「香織さん……助けてくださいっ」
言った瞬間顔がゆがんでいくのが自分でもわかる。
香織さんはいきなり飛びついた私にびっくりして、「え? え? ちょっと、どうしたの? かをるちゃん?」と何度も訊ねてくれたけど、それ以上は何も言うことができなかった。