抹茶な風に誘われて。
Ep.7 かをる―文化祭
結局、電話をとりそこねたまま過ごして、週末の文化祭当日を迎えてしまった。
あの後一日休んだだけで、すぐに登校してきた優月ちゃんはまったく普通どおりにふるまっていたし、同じく復活した咲ちゃんにもどう話をしていいかわからなくて、何も言えないままだった。
それに授業の後はずっとおばけ屋敷の準備作業で忙しかったから、実質話をする時間もなかったのだ。
「うわー、かをるちゃん可愛いじゃない! 超似合ってるよ!」
優月ちゃんの大声と拍手で、クラスのみんなが振り返る。
恥ずかしいからと囁いても、「平気平気!」と連れて行かれ、他のおばけ役の子たちと合流させられた。
「猫娘っていうより、これじゃあおばけにゃんこって感じだね」と咲ちゃん。
「これ、よくアニオタとかマニアがさ、萌えーとか言うやつじゃない?」
「かをるちゃん、暗闇で変な男に襲われないように気をつけないと」
「おばけが逆に襲われるってどうよ」
みんなで笑われて、私はよくわからないまま笑うしかなかった。
白くてふわふわの猫の耳がくっついたカチューシャをして、ほっぺには猫のひげ、それに白い着物でおばけの格好。
鏡に映る情けない顔の自分は、いつもの制服姿より更に小さく見えて、なんだか子供みたいだ。
――こんなおかしな姿、絶対に静さんには見せたくないな。
なんてつい考えてしまってから、そんな状況でもないことをすぐに思い出す。
ちらりと見やった先で、優月ちゃんは元気な顔で友達と笑っている。
『あたし、あきらめないから』
そう言って睨みつけるように静さんを見上げた時の表情が一瞬重なって、目をそらした。
――どうしよう。話さなきゃいけないのに、余計に話しづらくなっちゃった……。
一人カーテンのそばでため息をついていたら、内装の最後のチェックをしていた咲ちゃんが歩み寄ってきた。
あの後一日休んだだけで、すぐに登校してきた優月ちゃんはまったく普通どおりにふるまっていたし、同じく復活した咲ちゃんにもどう話をしていいかわからなくて、何も言えないままだった。
それに授業の後はずっとおばけ屋敷の準備作業で忙しかったから、実質話をする時間もなかったのだ。
「うわー、かをるちゃん可愛いじゃない! 超似合ってるよ!」
優月ちゃんの大声と拍手で、クラスのみんなが振り返る。
恥ずかしいからと囁いても、「平気平気!」と連れて行かれ、他のおばけ役の子たちと合流させられた。
「猫娘っていうより、これじゃあおばけにゃんこって感じだね」と咲ちゃん。
「これ、よくアニオタとかマニアがさ、萌えーとか言うやつじゃない?」
「かをるちゃん、暗闇で変な男に襲われないように気をつけないと」
「おばけが逆に襲われるってどうよ」
みんなで笑われて、私はよくわからないまま笑うしかなかった。
白くてふわふわの猫の耳がくっついたカチューシャをして、ほっぺには猫のひげ、それに白い着物でおばけの格好。
鏡に映る情けない顔の自分は、いつもの制服姿より更に小さく見えて、なんだか子供みたいだ。
――こんなおかしな姿、絶対に静さんには見せたくないな。
なんてつい考えてしまってから、そんな状況でもないことをすぐに思い出す。
ちらりと見やった先で、優月ちゃんは元気な顔で友達と笑っている。
『あたし、あきらめないから』
そう言って睨みつけるように静さんを見上げた時の表情が一瞬重なって、目をそらした。
――どうしよう。話さなきゃいけないのに、余計に話しづらくなっちゃった……。
一人カーテンのそばでため息をついていたら、内装の最後のチェックをしていた咲ちゃんが歩み寄ってきた。