抹茶な風に誘われて。
「新田優月、十七歳――見た目通りに派手で、社交的な性格。男関係も進んでて、高校に入ってからの交際相手だけでも十人を超えてる。まさに今時の女子高生って感じね。全般的に共通してるのは、イケメン好きだってこと。外見さえよければすぐ好きになり、熱しやすく冷めやすいタイプ――だって。まあ、これは今のとこ、静ちゃんには当てはまってないようだけどね」
あいかわらずどこから得てくる情報網なのか、頼んでから半日も経たずに電話してきたハナコがそう言って笑う。
「他にも色々調べたとこだと、中学の時は結構やんちゃしてたみたいよ? まあ、この子の父親ってのが市議会議員だかなんだかで、警察沙汰とかもうまく免れてきたらしいわあ。今は更正して、一見明るくていい子に見えるから、かをるちゃんなんて夢にも思わない過去でしょうねえ。ああ、悔しい! 純粋なうちのかをるをいじめるなんて許せないわっ! あたしが出て行って、二度と日の目見られないようにしてやろうかしら」
冗談めかして物騒なことを口走るハナコは無視して、俺は気になった単語をもう一度口にする。
「市議会議員、だと? 要するにもともと金持ちのお嬢様ってことか」
「まあそういうことね。母親とは離婚してるみたいだから、その子なりにちょっと苦労はしてんだろうけど。だけどさあ、静ちゃん。こういう子に目つけられるとさ、ちょっと面倒よお? 下手すりゃ父親まで引っ張り出してくるかも」
鼻で笑う俺に、ハナコは少し真剣なトーンで「気をつけなさいよ」と囁いた。
「静ちゃんはともかく、かをるちゃんはガラスのハートなんだから、どうせ誰にも言わずに一人で抱え込んじゃってるんじゃないの?」
図星を指され、一瞬言葉につまる。
嫌になるほど俺の反応を読み取ってくれるオカマ野郎は、これ見よがしに笑う。
「ほらほら、大人な彼氏のくせにそんなことでいいの~? 大事な彼女が悩んでるのに気づかないで、無理させちゃってまあ。さすがの静ちゃんも駆け引きなしの純粋な恋愛勝負にはかたなしねえ」
ほーっほっほ、と高笑いしてくる不気味な低音を最後まで聞かずに電話を切った。
あいかわらずどこから得てくる情報網なのか、頼んでから半日も経たずに電話してきたハナコがそう言って笑う。
「他にも色々調べたとこだと、中学の時は結構やんちゃしてたみたいよ? まあ、この子の父親ってのが市議会議員だかなんだかで、警察沙汰とかもうまく免れてきたらしいわあ。今は更正して、一見明るくていい子に見えるから、かをるちゃんなんて夢にも思わない過去でしょうねえ。ああ、悔しい! 純粋なうちのかをるをいじめるなんて許せないわっ! あたしが出て行って、二度と日の目見られないようにしてやろうかしら」
冗談めかして物騒なことを口走るハナコは無視して、俺は気になった単語をもう一度口にする。
「市議会議員、だと? 要するにもともと金持ちのお嬢様ってことか」
「まあそういうことね。母親とは離婚してるみたいだから、その子なりにちょっと苦労はしてんだろうけど。だけどさあ、静ちゃん。こういう子に目つけられるとさ、ちょっと面倒よお? 下手すりゃ父親まで引っ張り出してくるかも」
鼻で笑う俺に、ハナコは少し真剣なトーンで「気をつけなさいよ」と囁いた。
「静ちゃんはともかく、かをるちゃんはガラスのハートなんだから、どうせ誰にも言わずに一人で抱え込んじゃってるんじゃないの?」
図星を指され、一瞬言葉につまる。
嫌になるほど俺の反応を読み取ってくれるオカマ野郎は、これ見よがしに笑う。
「ほらほら、大人な彼氏のくせにそんなことでいいの~? 大事な彼女が悩んでるのに気づかないで、無理させちゃってまあ。さすがの静ちゃんも駆け引きなしの純粋な恋愛勝負にはかたなしねえ」
ほーっほっほ、と高笑いしてくる不気味な低音を最後まで聞かずに電話を切った。