抹茶な風に誘われて。
「わかった。お前が心配しているようなことにはならないから、安心していろ」

「静さん? それってどういう――?」

 問いかける瞳は本当にどういうことかわかっていない、純真無垢な色をしていたが、答えをやる気にはならなかった。

 まだ、今この場では――。

 疑問の言葉を軽く流して唇を合わせながら、五月の言葉を思い返していた。

 俺がこうやって笑えるようになったのは、どうやらこの少女のおかげらしいから――いっそこうして流されて行くのも、酔狂というものなのだろう。

 魔法がかかったかのように瞳を閉じ、力の抜けた体を預けてくるかをる。

 抱きしめ、キスを繰り返しながら、この時俺は既にプランを練っていたのだ――。
 
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