抹茶な風に誘われて。
「静、さん――? これは?」
左手の薬指にぴったりはまった指輪を混乱したまま見つめる瞳。
事の真相など永遠に理解しないだろう少女に微笑んで、俺は続けた。
「もちろん、俺たちの婚約指輪に決まってる。忘れたのか? 細い指に合わせた特注品で、お前の名前も彫ってある。ほら」と一度外して、彫られたローマ字のスペルを教師たちにまでわざとらしく見せ付けてから、もう一度かをるの指にはめた。
「というわけでも、未成年だとか年の差だとか、そういった無粋なことをまだ仰るんでしょうか、先生方? ああ、ちなみに申し上げておけば、私はかをるの体には指一本触れていませんよ。ご期待に沿えず残念だ。それでもご理解いただけないというのなら、ああ、これ以上どうやってご説明すれば――」
「わ、わかった! わかりましたよ、もう結構! 結婚を前提にというならば、我々にはこれ以上何も言えませんからな。ね、ねえ? 美作くん」
「そ、そうですねえ、木下先生。あ、愛に年の差なんて関係ないものですからね。は、ははは――」
わざとらしく困ったふりをしてみせたら、あっという間に敗北を認め、愛想笑いまで浮かべる二人の教師。
さりげなく写真を懐に隠す様子を横目で見ながら、「記念に焼き増しをご希望なら、いつでもどうぞ」と釘を刺してやる。
引きつった顔で首を振る教師たちに、笑顔を消した真顔で続けた。
左手の薬指にぴったりはまった指輪を混乱したまま見つめる瞳。
事の真相など永遠に理解しないだろう少女に微笑んで、俺は続けた。
「もちろん、俺たちの婚約指輪に決まってる。忘れたのか? 細い指に合わせた特注品で、お前の名前も彫ってある。ほら」と一度外して、彫られたローマ字のスペルを教師たちにまでわざとらしく見せ付けてから、もう一度かをるの指にはめた。
「というわけでも、未成年だとか年の差だとか、そういった無粋なことをまだ仰るんでしょうか、先生方? ああ、ちなみに申し上げておけば、私はかをるの体には指一本触れていませんよ。ご期待に沿えず残念だ。それでもご理解いただけないというのなら、ああ、これ以上どうやってご説明すれば――」
「わ、わかった! わかりましたよ、もう結構! 結婚を前提にというならば、我々にはこれ以上何も言えませんからな。ね、ねえ? 美作くん」
「そ、そうですねえ、木下先生。あ、愛に年の差なんて関係ないものですからね。は、ははは――」
わざとらしく困ったふりをしてみせたら、あっという間に敗北を認め、愛想笑いまで浮かべる二人の教師。
さりげなく写真を懐に隠す様子を横目で見ながら、「記念に焼き増しをご希望なら、いつでもどうぞ」と釘を刺してやる。
引きつった顔で首を振る教師たちに、笑顔を消した真顔で続けた。