抹茶な風に誘われて。
3. 抹茶な風に抱かれて。(ラブラブ編)※R15指定程度
Ep.1 手紙
校庭の隅で、コスモスが揺れている。
まるで挨拶するみたいに交互にさざめくピンクと白の花たち――その風情を感じる余裕もない居心地の悪さに、すぐに花から目を逸らす。
目の前の人物が言葉を切った瞬間、ああついにこの時が訪れたのだと悟った。
「ごめんなさい」
告げた言葉に、落胆する顔を見上げる。
同じ高校の制服を着た、見知らぬ男の子は、視線を落として私の言葉の続きを待っている。
「……あの、私……お付き合いしている人がいるんです」
言い切った時胸を閉めた心苦しさは、浮かんだ面影に少しだけ癒されたような気がした。
*
「えーっ、また告られたのお!?」
大きな声で言われて、私はあわてて静かにしてくれるよう頼む。
昼休みの教室で、パックのイチゴ牛乳を飲んでいた派手なお化粧のクラスメイト――新田優月ちゃんは、それでも大きな目を更に大きくして校庭を見やる。
「どこどこ? もう行っちゃったかな」
「ゆ、優月ちゃん……っ! 声が大きいってば」
手すりにもたれて身を乗り出す背中を引っ張ったら、膨れ顔が振り向いた。
「だってさ、三年の早乙女先輩っつったら、数少ないうちの男子生徒の中でもナンバーワンかツーには入るってくらい、女の子の人気も抜群なんだよ? 今まで誰が告白しても玉砕し続けてきたんだよ? その彼を振るなんてさあーマジもったいない! あーあ、あたしに言ってくれたら即オッケーだったのに! 本命はかをるちゃんだったのかー悔しいっ!」
泣きそうになってきた私を見かねたのか、黒髪のポニーテールを揺らしながら颯爽と間に入る人影がある。
優月ちゃんともう一人、私が一番仲良くしているクラスメイト、河野咲ちゃんだった。
まるで挨拶するみたいに交互にさざめくピンクと白の花たち――その風情を感じる余裕もない居心地の悪さに、すぐに花から目を逸らす。
目の前の人物が言葉を切った瞬間、ああついにこの時が訪れたのだと悟った。
「ごめんなさい」
告げた言葉に、落胆する顔を見上げる。
同じ高校の制服を着た、見知らぬ男の子は、視線を落として私の言葉の続きを待っている。
「……あの、私……お付き合いしている人がいるんです」
言い切った時胸を閉めた心苦しさは、浮かんだ面影に少しだけ癒されたような気がした。
*
「えーっ、また告られたのお!?」
大きな声で言われて、私はあわてて静かにしてくれるよう頼む。
昼休みの教室で、パックのイチゴ牛乳を飲んでいた派手なお化粧のクラスメイト――新田優月ちゃんは、それでも大きな目を更に大きくして校庭を見やる。
「どこどこ? もう行っちゃったかな」
「ゆ、優月ちゃん……っ! 声が大きいってば」
手すりにもたれて身を乗り出す背中を引っ張ったら、膨れ顔が振り向いた。
「だってさ、三年の早乙女先輩っつったら、数少ないうちの男子生徒の中でもナンバーワンかツーには入るってくらい、女の子の人気も抜群なんだよ? 今まで誰が告白しても玉砕し続けてきたんだよ? その彼を振るなんてさあーマジもったいない! あーあ、あたしに言ってくれたら即オッケーだったのに! 本命はかをるちゃんだったのかー悔しいっ!」
泣きそうになってきた私を見かねたのか、黒髪のポニーテールを揺らしながら颯爽と間に入る人影がある。
優月ちゃんともう一人、私が一番仲良くしているクラスメイト、河野咲ちゃんだった。