抹茶な風に誘われて。
「マンネリ化……?」

「そうそう。だって付き合って三ヶ月っていえば、最初の倦怠期って言うじゃん。もうお互いの体も知り尽くした頃でしょー? アレもワンパターンになってくるってかさ。まあ、静先生の場合はさすがに手札多そうだから心配ないか」

「手札?」

「コラコラーッ、優月! だめだってば、そういう話題は……」

 ちょっと頬を赤くしてまた止めに入ってくれた咲ちゃんは、言葉をにごして私を見る。

 興味津々、といった表情で見つめてくる優月ちゃんとの間にはさまれて、更に首を傾げる私。

「あの、かをるちゃん……まさかとは思うけど、まだ未体験、なんてことはないよね? なんちゃってまさかねー! あの静先生だもんね! そんなわけ……」

 あはは、と笑いながら一人話していた優月ちゃんが、私の表情を見ながら段々言葉を失っていく。

「えっと、未体験って――何が?」

 話の流れを読めない私は、悪いかなあと思いながらも仕方なく訊ねた。

 思いきり眉をよせた二人が顔を見合わせて、鳴り出したチャイムと同時に優月ちゃんが囁く。

 途端に真っ赤になった私の顔――それこそが、答えだった。
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