抹茶な風に誘われて。
目的のカフェはすぐ近くで、ちょうど窓際の席に腰掛けている着物姿の静さんを見つける。
目が合って手を振ると、静さんが片手を上げる。
そのまま座っていたから、まずはお茶でもと言う意味なんだろうとそのまま駆けて行く。
久々のデートに心は浮き立っていて、早く静さんのそばに行きたくて――はやるばかりの私の足を止めたのは、突然背後で呼び止める声だった。
「かをる」
いきなり自分の名前が聞こえて、何気なく振り返る。
するとそこにいたのはさっき一緒に降りてきた男の子で、嬉しそうな笑顔を浮かべていた。
一瞬辺りを見回す私の前で、くすりと笑う。
そのまま近づいてきた彼の手が、私の手首を掴んだ。
「お前だよ、かをる。すっげー久しぶり。俺のこと覚えてない?」
親しげに笑いかけられて、手首を引くに引けないままためらう。
そんな私の戸惑いなど全く気にしないような気安い態度で、今度は自分の胸を親指で指し示す彼。
「アキラだよ、田坂アキラ。絶対すぐわかってくれると思ったのに、薄情なのな」
「田坂……あっ、アキラくん!?」
口にした途端、目の前の笑顔と重なる、幼い面影。
小学校三年まで一緒に過ごした、施設の仲間――それがわかっても、びっくりしすぎて目を見張っていた。
くしゃり、と私の髪に触れたアキラくんの手がふいに背中に回って、次の瞬間には抱き寄せられていて――。
「会いたかったぜ! ハニー!」
いきなり感極まったように力を込めて抱きしめられた私は、逃げることも忘れて固まってしまったのだった。
目が合って手を振ると、静さんが片手を上げる。
そのまま座っていたから、まずはお茶でもと言う意味なんだろうとそのまま駆けて行く。
久々のデートに心は浮き立っていて、早く静さんのそばに行きたくて――はやるばかりの私の足を止めたのは、突然背後で呼び止める声だった。
「かをる」
いきなり自分の名前が聞こえて、何気なく振り返る。
するとそこにいたのはさっき一緒に降りてきた男の子で、嬉しそうな笑顔を浮かべていた。
一瞬辺りを見回す私の前で、くすりと笑う。
そのまま近づいてきた彼の手が、私の手首を掴んだ。
「お前だよ、かをる。すっげー久しぶり。俺のこと覚えてない?」
親しげに笑いかけられて、手首を引くに引けないままためらう。
そんな私の戸惑いなど全く気にしないような気安い態度で、今度は自分の胸を親指で指し示す彼。
「アキラだよ、田坂アキラ。絶対すぐわかってくれると思ったのに、薄情なのな」
「田坂……あっ、アキラくん!?」
口にした途端、目の前の笑顔と重なる、幼い面影。
小学校三年まで一緒に過ごした、施設の仲間――それがわかっても、びっくりしすぎて目を見張っていた。
くしゃり、と私の髪に触れたアキラくんの手がふいに背中に回って、次の瞬間には抱き寄せられていて――。
「会いたかったぜ! ハニー!」
いきなり感極まったように力を込めて抱きしめられた私は、逃げることも忘れて固まってしまったのだった。