抹茶な風に誘われて。
「気にするな。さあ、行くぞ」
「えっ? 行くって、どこに……」
「映画に決まってるだろう。見たかったんだろうが、例のラブストーリー」
「ほ、本当にいいんですか? 静さん、あんまりラブストーリーは苦手だって皆さんが……」
「いいや、誰もそんなこと言った覚えはない。楽しんでやろうじゃないか、甘いラブストーリーをな」
「は、はいっ」
不敵な笑みを浮かべた静さんに引っ張られるまま、私は駅の構内を早足で歩く。
久々のデートが、さっきの一件で台無しにならなかったことに、内心ほっとしていた。
不意を付かれたとはいえ、他の男の子に抱きしめられたりしてしまった自分を反省しつつ、それでも怒らない静さんはやっぱり大人だ、なんて――そんなことを考えていた私は、まだ知らなかったのだ。
この時、どれほど静さんの胸が煮えたぎっていたのかを――。
「えっ? 行くって、どこに……」
「映画に決まってるだろう。見たかったんだろうが、例のラブストーリー」
「ほ、本当にいいんですか? 静さん、あんまりラブストーリーは苦手だって皆さんが……」
「いいや、誰もそんなこと言った覚えはない。楽しんでやろうじゃないか、甘いラブストーリーをな」
「は、はいっ」
不敵な笑みを浮かべた静さんに引っ張られるまま、私は駅の構内を早足で歩く。
久々のデートが、さっきの一件で台無しにならなかったことに、内心ほっとしていた。
不意を付かれたとはいえ、他の男の子に抱きしめられたりしてしまった自分を反省しつつ、それでも怒らない静さんはやっぱり大人だ、なんて――そんなことを考えていた私は、まだ知らなかったのだ。
この時、どれほど静さんの胸が煮えたぎっていたのかを――。