抹茶な風に誘われて。
真夏の夕方、突然いなくなったあの人は、手折った夕顔の花と一緒に、私の希望も持ち去ってしまった。
あれは私が八歳の夏休み。
施設ではない場所で過ごした初めての夏だった。
そんなことなら連れ出してくれなくてもよかったのに。
夢を見させないでほしかったのに。
いつも訪ねてくれる優しいおじさんは、お別れも言わずに行ってしまった――花なんて触ったこともないアキラくんを連れて。
短い夏を過ごしたキャンプ場から帰った、その翌日のことだった。
経営していた造園会社が移転したからだとか、そういう大人の事情なんてその時はわからなくて。
ただ裏切られたようにしか思えなかった。
なぜ、私に優しくしたの。
なぜ、期待させたの。
しばらくはそうやって恨んだ。
自分を連れて行ってくれなかったことが悲しくて、悔しくて、辛くて……何度も泣いた。
あれは私が八歳の夏休み。
施設ではない場所で過ごした初めての夏だった。
そんなことなら連れ出してくれなくてもよかったのに。
夢を見させないでほしかったのに。
いつも訪ねてくれる優しいおじさんは、お別れも言わずに行ってしまった――花なんて触ったこともないアキラくんを連れて。
短い夏を過ごしたキャンプ場から帰った、その翌日のことだった。
経営していた造園会社が移転したからだとか、そういう大人の事情なんてその時はわからなくて。
ただ裏切られたようにしか思えなかった。
なぜ、私に優しくしたの。
なぜ、期待させたの。
しばらくはそうやって恨んだ。
自分を連れて行ってくれなかったことが悲しくて、悔しくて、辛くて……何度も泣いた。